呑み歩き紀行～神力
セカンドキャリアに突入してから気持ちのんびりとしているせいか、仕事に追われる気がしなくなっています。まぁ責任という点では何も変わりません。…時々、「責任は俺がとる」と声高々にいって、失態があると責任は自分にないと宣う先人が存在していますが、仕事をする上で自分が行ったことの責任は自身でとるのが筋である。という小学生でも判るようなことができない団塊の世代だと豪語する輩もいますね… セカンドキャリアになり、公的責任は別の者がとることになっているからこそ、失敗のない仕事の処理を行う責任が生まれるものですが…概ね自分で責任をもって働いていなかった人ほど、誰かの成果を自分の成果のように語り、会社に迷惑をかけるのかもしれません。
と、横で愚痴っている客の話が飛び込んできます。きっと何処かしこにある問題なのでしょう。年金をそろそろ貰う年齢になり、現役時代には得ることのできなかった名声を求めたい。となるのかもしれません。できないことを、できるといい。その結果、尻拭いをするのは現役で働いている人たち、愚痴も零したくなるのでしょうが…聞こえてくる内容に関しては事象だけを聞いていても気分の良いものとはいえません。ただ、他の客に絡むでもない内輪の愚痴りあい、誰かが咎めることもできるわけもなくただ時だけが過ぎていきます。
追記情報。京橋（大阪）の路地裏にぽつりとあるおばんざいのお店は、カウンターだけの小さなお店は隠れ家てきな店です。おかんと呼ばれる女将さんのおばんざいと、週に一回だけのお寿司コースをおこなう芸人さんの親子で営業しているお店です。
小生は、おばんざい目当てで通っていましたが、2023年夏におかんの体調を気遣い、ご子息が予約専門寿司コースの店として切り盛りしています。芸人さんということもあって、ひとあしらいが心地よく、気持ちの良い時間を過ごさせてくれます。と、いうわけでUpされる時には予約の取れにくいお寿司コースのお店です。繊細で丁寧な仕事で提供されるお寿司は絶品です。
と少し時間をさかのぼって2023年4月15日。程よく酔い、口の回りがよかったサラリーマンが席をたち、若大将が申し訳なさそうに「すみません」と声をかけてくれます。小生的には、partnerとおかんが楽しくお喋りしているのを眺めながら飲んでいたので何の問題もありませんが。
小生は突き出しに出てくるおばんざいに、おばんざい5種盛りを追加して7種類のおばんざいを楽しみつつ、ハイボールなどを頂いてから、若大将に日本酒をお願いします。お任せすると、お薦めをだしてくれます。
今宵のお酒は神力。山形県の酒田酒造のお酒です。山形の雪の中で小生が埋もれかけたのが数か月前。その山形の地酒「上喜元」の超限定品だそうです。こういう珍しいお酒が飲みきりで出てくるのもこの店の魅力です。
余談ですが、このお酒に使われるお米は、完全復活米*1といわれるものだそうです。百年ほど前、兵庫県揖保郡御津町中島出身の丸尾重次郎により発見された、わずか三粒の種籾から出発した「神力米」。復活米「亀の尾」等と同じく食用米としても食べられていたそうですが、同時に酒米(酒造好適米・酒造りのための原料米)としても広く用いられていたとか…その後、度重なる新品種の登場とともに、亀の尾同様一線から退いた米は、神力も復活を望む声が高まり、近年、酒造好適米として復活栽培が取組まれるようになっているそうです。
そんな貴重なお酒にありつくことになった小生。口を湿らせる程度に味和せていただくと、お米独特の甘さを感じさせる香りに自然に笑みがこぼれます。何よりも喉越しは柔らかく、あっさりとした味わいが特徴的…というよりも騙されて深酒をしそうな危険な香りが漂います。口に含んだ時の酸度に重みを感じるのは一瞬、というのも危険な罠です。普通にpartnerも嬉々として舐めます。
おかんが用意する料理とおばんざい、若大将の揚げ物に添えられるお酒が心地の良い時間を作り出してくれます。素敵な時間は何時の時でも幸せにしてくれます。口福は、本当に幸福につながっていると感じられる時間がここにはあります。
何よりも若大将の料理の繊細さは食べる人の心を穏やかにするようです。おいしさの笑顔が、疲れた心を、少し闇による気持ちを優しく祓ってくれるのかもしれません。もしかすると添えてくれる笑顔がその力を持っているのかもしれません。
神の力…山形の雪深い場所に行ったあとだけに、自然の耐え忍ぶ力を宿している気がします。気分のモノと一蹴されそうですが、飲んで氣がたかまり、優しい気持ちに満ちていくのを感じる時間でした。
おまけ…
完全予約制になっているので先の時間が確定できない小生は予約を入れられませんが、セカンドキャリアももう少し落ち着いてくれたら、お寿司のコースを堪能しに行きたいものです。ちなみにですが、これまで一緒した方は、おかんのファンになっています。
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